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引退

逮捕を恐れながらも、日増しに博打を打ちたいと言う衝動は増すばかり。

そんなある日M君から裏情報を頂く…

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それはカジノ摘発に関する裏情報。

当時、警察が取り締まりを行っていたのは『オープン店』と呼ばれ、営業届けを提出していたカジノ店。

勿論、換金行為は一切行わずカジノの雰囲気を楽しめるバーとして申請して居た訳だが…

申請とは違う内容で営業してる、お店を中心に取締りをしていると言う情報を入手。

更に警察がカジノ・バーを立件・摘発するまでには内偵調査を実行した上で、経営者・店長の逮捕状を取るまでの期間

等を考慮すると数ヶ月はかかるので新規店かアングラ店を狙えば大丈夫だと貴重な情報を教えてくれる。

アングラ店とは、秘密裏にコッソリと行われるお店の事で、勿論カジノ・バーの看板等も一切挙げては居ない。

外からは単なるバー等に見せかけおいて、実は奥に有る秘密の扉を開くと憧れのバカラ賭博が待ってるお店の事。

つまり警察側からは発見しづらいお店。そしてまたしても禁断の扉を開いてしまう。

またしても連日バカラ通いの日が始まるが、以前編み出した必勝法は通用しなくなっていた。

理由はアングラ店は客が少ない為、ペアで行動すれば瞬時に店側にばれてしまう。

最初の内は気にせず実行したがいつまでも店が黙って居る訳も無く、カジノバーの出入り禁止を食らってしまう。

でも金は欲しい。そもそもなんで負けるのだろう?2分の1なんだから同じ金額を賭けていれば

確率計算上手数料・サービス分以上は負けないし勝てないギャンブルの筈。でも参加する殆どの人が

全てチップを失い破綻して帰って行く。勝負の明暗を分けるのは一体何なのだろう?

その日以降はカジノ店に行くものの勝負には参加せず、冷静に勝敗の行方だけを分析してみた。

冷静に見れば見るほど、テーブルに座った人間の心理状態が見えてくる。キレてしまってる奴・

調子のいい奴・勝負に呑まれてしまってる奴など手に取る様にそれぞれの心理がが見えてくる。

オカルトと言われればそれまでだが、時としてギャンブルは確率論では片付けられないそんな一瞬が存在する。

勝つためには常に自分の精神状態を冷静に保つ事が重要なんでは無いだろうか?そして欲に呑まれない事。

そもそも勝ちも負けも出来ない2分の1のギャンブル。

欲に目が眩んだ人間の逆張りと勝負に飲み込まれてる奴の逆張りさえすれば必然的に儲かるんじゃ無いのか?

次第にそんな事ばかりを考えるようになる。

しかし、テーブルに座り勝負に参加すると先程まで見えて居た物が見えなくなってしまう。

それでも冷静を保つ事を意識し興奮を抑えながら勝負に参加し場数と経験を積むと、次第に負けの日は無くなって行った。

不思議なもので幾ら勝とう等を決めずに、純粋に勝負の流れで自分が置かれている立場を冷静に判断しながら

事を進めて居る内は、不思議と勝ちが転がり込んでくる。しかし勝ちを意識し勝負を急ぐと負けてしまう。

そんな事を日々考えながら順調に勝ち越して行くが、ある日完全に自分を見失ってしまう。

それまでコツコツと勝ちを増やして勝負師としての自身が付き始めた頃。その日は突然訪れた…

店に入り手馴れた手つきで20万円の金をチップに換え勝負に参加。

何時もは全体を見回して勝負の流れを見極めた上で思った方にBETするのだが、

その日テーブルに居た連中は中々BETしてくれない。次第に事が思い通り運ばない事に苛立ちを覚える。

その瞬間に自分は勝負に飲まれていた。苛立つ事により冷静さを見失い次第に勝負の流れが掴めなくなる。

テーブルに付く客が皆、自分の逆張りをして来る事に腹を立て冷静さを失ってしまう。

全てが裏目。一瞬にして20万のチップを失う。まるで自分を馬鹿にされているかの様に思え腹が立ち、更に20万のチップを追加!!

この時点で完全に自分を見失ってしまい、そこから先は今まで自分が食い物にしてきたキレてる人達と一緒。

さらに追加の20万も負け40分足らずで60万円も負けてしまう。流石に60万負けて顔が青ざめて来たので、

一旦席を立ち冷静さを取り戻そうと店外へ。その後、暫く夜風に当たり熱を冷ました後、勝負に向かった。

10万円を握り締め、大阪道頓堀に有った『パーセント』と言うカジノバーに入店。

数台有るテーブルを見回し勝負の流れを掴めそうなテーブルを探す為に暫く観戦。

すると完全にキレて落ち目に成り行く状態の人物を発見する。すかさず10万円分のチップを手にその全てを対象人物の逆にBET

1戦目・・・勝利 計20万円分のチップを手にする

2戦目も同じく完全に相手はキレてると確信したためそのまま勝負続行。

2戦目・・・勝利 計40万円分のチップを手にする。

この時キレてしまった奴は放心状態になり席を立ってしまう。

この時かなりの高額を賭けていたので自分の後ろには大勢のギャラリーが居た。

一瞬席を立とうか迷ったが、後1回当てれば勝ちになる事を意識してしまう。散々迷ったが

負ければバカラを引退するつもりで、40万円を賭けてトランプをめくる事にした。

結果負け。しかし不思議と悔しいとか悲しい等の感情はこみ上げてこなかった。

むしろ、バカラ賭博の全てを知った様な達成感を感じ夜の街を独り歩いた。

そしてこの日を境に裏ギャンブルの世界から足を洗った。


【続く】

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